Behind Design

帽子を作るその前に

2022/05/10

トレンドの移り変わりは早く、モノづくりは奥深いものです。
色々な人が携わり出来上がる1つの帽子のウラ側を深堀りします。
第1回目である今回は、全ての帽子のウラ側を支えるパタンナーがまず行う工程にフィーチャーします。

帽子の被り心地を決める瞬間

デザイナーの頭の中にあるイメージを具現化するのが、パタンナーの仕事。そしてすべての工程の出発地点がパターンメイキングで、帽子作りはパタンナーから始まる。
仕様書やデザイン画に描かれているのは、あくまでも立体的になっている完成形であり、理想の形である。
それを作るために、完成した状態である立体をイメージしながら、平面のパターンを引く。
簡単に聞こえるが、頭の中で想像しながら作業することは難しい。
さらに使用する生地の厚さや特性などを考慮しなければならない。
ここが帽子のシルエットと被り心地を決める最大のポイントで、パタンナーの技術とセンスが求められる。

帽子を作るその前に

帽子というアイテムは洋服などに比べて1つのパーツが小さい。
パーツが小さいということは、数mmの違いで被り心地、シルエットが変わってしまう。
その為、綿密に計算した上で各パーツの長さを決めることが重要だ。
筆者は学生時代、数学が不得意だったのでうろ覚えの言葉だが、中学校で習う平方根(ルート)を使って計算するようだ。
(余談だが、数学が得意でなくてもパタンナーにはなれるので、この一言で夢をあきらめないでほしい)

帽子を作るその前に

デザインが良くても、シルエットが悪ければ良い帽子とは言えない。
見た目が良くても、被り心地が悪ければストレスになり着用することに抵抗が出てくる。
帽子を作る前から、シルエットと被り心地はある程度決まり、良い帽子になるかはこのパターンメイキングが勝負と言っても過言ではない。
もちろん万人に合うシルエットは存在しないが、最適を目指して日々技術を磨き続けている。

帽子を作るその前に

パタンナーが作ったパターンを基に、裁断や縫製などの各職人の工程が進み1つの帽子が出来上がる。
全ての帽子にそれぞれのデザインの裏側があるが、全てに共通する帽子の BEHIND DESIGN がパターンメイキングだ。
帽子のデザインなどに目が行きがちだが、目に見えないところで帽子の良さが決まる瞬間がある。
もし、あなたの普段被っている帽子がストレスなく被れるならば、そこにはパタンナーの数mmの微調整が効いているのかもしれない。

シルエット、被り心地に拘った中央帽子の技術が詰まったモデルはこちら。

FM714-013 THE 中央帽子 CAP

FM714-013 THE 中央帽子 CAP